兵庫県における文書問題について。

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こんばんは。限界おじさんです。

現在、世間を賑わせております兵庫県における告発文書問題について、私の見解を書きます。

無職でやることもなかったので、この件に関するニュースや百条委員会はほぼすべて見ていました。数時間におよぶ証人尋問もライブで視聴しました。それらを踏まえて、私の個人的な見解を述べます。

細かく書くと長くなるので、要点をできるだけまとめて紹介しようと思います。

告発文書の概要

兵庫県の幹部職員(当時)が、知事や副知事などの疑惑を内部告発文書が発端となり、大きな問題となっている。その告発文書は7つの疑惑で構成されている。

1片山副知事が『ひょうご震災記念21世紀研究機構』の五百旗頭理事長(故人)に、副理事長2名の解任を通告。理事長の命を縮めた。
2前回の知事選で、県の幹部4名が斎藤知事への投票依頼などの事前運動を行った。
3知事が、商工会議所などに次の知事選での投票を依頼した。
4企業から、高級コーヒーメーカーなどを受け取った。※おねだり体質を指摘。
5片山副知事らが、商工会議所などに補助金カットをほのめかして、知事の政治資金パーティー券を大量に購入させた。
6阪神・オリックス優勝パレードの資金集めで、片山副知事らが信用金庫への補助金を増額し、企業協賛金としてキックバックさせた。
7パワハラで県庁内は悲鳴をあげている。
・20m手前で公用車を降りて歩かされて、怒鳴り散らす。
・気に入らないことがあると机を叩く。
・幹部のチャットで夜中・休日など構わず指示。

告発文書を初めて見たときに私が感じたことは、『微妙な告発ばかりで県の幹部が書いた文書とはとても思えない』である。

なぜなら、証拠として、音声や映像データがなければこれらを立証することが難しいように思えるからだ。現実的に解明できそうなのが、パワハラくらいではないかと思う。※パワハラについても成立要件などがあるので、証言のみで認定できるのかも読めない部分がある。

いずれにせよ、この告発文書が発端となり、連日、全国ニュースとして取り上げられている。

文書問題の経緯

百条委員会や記者会見などで明らかになった事実を基に、告発文書から副知事辞職までの簡単な経緯を書く。告発者を『幹部職員A』と表記する。

2024年
3月12日
兵庫県の幹部職員Aが、知事や副知事などの疑惑を内部告発する文書を報道機関や県議会議員などに送付。
3月20日知事が文書の存在を把握。
3月21日知事、副知事、総務部長らで対応協議。知事から『徹底的に調査する』ように指示。
3月23日メール調査で文書を作成・配布した幹部職員Aを特定。
3月25日幹部職員Aへの事情聴取を実施。公用PCを押収。幹部職員Aが文書の作成・配布を認める。
3月27日・県は、幹部職員Aの異動と3月末の退職を取り消す人事を発令。
・知事が記者会見で「事実無根」「噓八百」「公務員失格」などと幹部職員を批判。
・産業労働部長が内部告発で指摘されていたコーヒーメーカーなどを企業に返却。
4月1日幹部職員Aが、3月27日の記者会見における知事の発言などに反論する文書を報道機関に送付。
4月4日幹部職員Aは、県に設置されている公益通報窓口から申請。
5月7日県が幹部職員Aを懲戒処分(停職3ヶ月)。懲戒理由は4つの非違行為によるもの。文書の内容については『核心的な部分が事実ではなく、誹謗中傷に当たる』と認定。
5月21日議会からの『第三者機関による再調査』申し入れを受け、斎藤知事が第三者機関設置を表明。
6月13日県議会で百条委員会設置案を可決。
7月7日元幹部職員Aが、姫路市の親族宅で死亡しているのが見つかる。
7月12日片山副知事が辞職を表明。

7月末に片山副知事は退職し、現在は、百条委員会において、職員アンケートや証人尋問などを通じて真相究明に向けて取り組んでいるところだ。

知事が告発文書を把握してから、懲戒処分をするまでのスピード感は行政機関では普通なのかしら。めちゃくちゃ早いように思うんだが。どうなんだろう。

県の初動がすべてだった

3月21日の知事、副知事、部長らの協議において『誹謗中傷性の高い文書』と断定し、内部調査に踏み切ったことが適切ではなかったと思う。

おそらく、告発文書の存在を把握した当時は『公益通報保護制度』ということが頭にはなかったのではないだろうか。全国の首長(知事や市町村長)が同様のケースに直面しても初動で『公益通報保護制度』ということを想定する人は少ないのではないか。斎藤知事を擁護するわけではないが、日本において、『公益通報制度』が浸透していないように思う。

知事の記者会見を見ても、『公益通報』に関する話は当初なかった。

しかし、文書を把握した時点で『公益通報保護制度』が頭になかったとしても、知事や副知事といった『告発された側』が告発文書を『誹謗中傷性の高い文書』と評価し、内部調査においては、副知事が直接事情聴取を行ったことは問題である。(個人的見解)

仮に、告発文書がまったくの事実無根であっても、告発された側が『誹謗中傷性の高い文書』と評価するのは、企業以上に説明責任が求められる行政がやるべきではない。それが、人事権と予算権を有している知事が対象者なら尚更。

この初動における誤りを一切認めずに、後付け的に『公益通報における外部通報には当たらない』と主張し続けた結果、このような大きな事案へと変貌した。

文書問題における問題点

一連の流れを見ていて、私が感じた問題点を列挙していく。

  • 知事が告発文書を『誹謗中傷性の高い文書』と判断したこと。
  • 副知事が事情聴取を行ったこと。
  • 副知事が人事権をチラつかせて幹部職員Aに事情聴取を行ったこと。
  • 内部調査における私用スマホの確認。
  • 調査中であるにも関わらず、初期段階で知事が公の場で『事実無根・噓八百・公務員失格』と発言したこと。
  • 一部事実が含まれていることを知事が早い段階で認めなかったこと。後に、百条委員会における証人尋問で事実と認めていることがいくつかある。
  • 知事の不誠実な対応。記者会見などで質問の意図とは異なる回答を繰り返す。
  • 過剰なメディア報道。不確かな情報に基づく報道。
  • 百条委員会における情報管理。職員アンケートの中間発表前にメディアに情報が洩れているのは明らか。あと、証言者が特定しかねない発言をしている委員の存在。

思いついたことを書くとこんな感じかな。

四面楚歌の斎藤知事

はっきり言って、告発文書を見る限り県政を揺るがすような告発ではないことは多くの人が分かると思う。県が告発文書の評価を第三者に委ねていれば、大した問題にはならなかったように思う。

第三者が告発文書を『誹謗中傷性の高い文書』と判定すれば、告発者の特定も問題ないし、調査で明るみになった非違行為で懲戒処分をすることも問題ない。

結局、斎藤知事が感情的に動いたため、今に至ると言わざるを得ない。

初動に問題があるにも関わらず、『県は適切に対応してきた』と繰り返して自分の首を絞め続けた結果、辞職に追い込まれるという状況に陥った。

公益通報として取り扱わなかったとしても、文書の内容について、否定するところは否定し、一部事実については認めて、『ごめんなさい』しておけば県民感情はここまで悪化していないように思う。

初動に問題があるので、文書の真偽を問わず、知事(県)側を正当化できる要素はない。

今回の文書問題で、斎藤知事が政治家としての未熟さが露呈し、リーダーとしての資質が疑われる結果となった今、このまま知事として県政を進めていくことは困難であると思う。

このような状況では、職員に対しての知事としての求心力もないだろうし、対外的にも相手にされないケースが増えることが予想される。知事を続けるのであれば、出直し選挙しかないように思う。パワハラで問題になった泉明石市長が出直し選挙をしたように。

私は、告発者を肯定しようとは思わないし、告発者の死を振りかざして知事を批判することにも疑問を抱いている。もちろん、知事に道義的責任があると思うが、人が亡くなっていることを盾に責め立てるのは、むしろ人の命を軽んじているように見える。

あと、維新の会は、今回の件でかなり評価を下げたと思う。初動に問題があるのに、『真相究明』にこだわり、迷走している姿は何とも言えない。維新の会は選挙において有権者の審判を受けることになるだろう。

県議会の全会派から辞職要求を突き付けられ、9月議会では不信任決議案も提出されるだろう。知事は辞職するのか、それとも議会の解散をするのか見届けたいと思う。

文書の真偽に関わらず、兵庫県の初動に問題があり、軌道修正できずに問題を大きくした。また、知事は、説明責任を果たしているようには見えないし、不誠実と思われても仕方がない振る舞いを続けた。

さてと、返済について考えるわ。またね。

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